2011年5月31日火曜日

HSK初中等(7) 試験会場

確か、私が受けたのは10月だったと思う。
会場は、上海交通大学の中にあった。

上海交通大学は、復旦大学とともに上海の名門大学と言われている。

私がHSKクラスを受けていた語学学校からは、結構たくさん受ける人がいたので、
先生がツアコンのように我々受験者を会場まで連れて行ってくれた。
至れり尽くせり、という感じである。

教室にはいると「鞄などの持ち物は全部教室の前に置け」と言われる。

筆記用具や時計など、試験に使うことが許可されているもの以外は、
自分の座る机のところにすらおいておけず、教室の前に広げられた敷物の上に
置かなければならない。

なかなか厳格だ。

カンニング防止のためには効果があると思うが、これは教室が比較的小さいから
出来るオペレーションであって、日本の大学受験みたいに巨大な教室では難しいだろう。

机には、聞き取り用のヘッドフォンが置いてあり、
「きちんと音が聞こえるかどうか確認してください」と言われる。

ワイヤレスのヘッドフォンだったので、ちょっと感動した。

スイッチをオンにすると、音が聞こえ、音質も問題なかった。
他の受験者でヘッドフォン交換を要求していた人もいたので、
それなりにトラブルもあるようである。

その後、試験が始まるのだが、問題は最初から最後まで全く休憩がないことだ。

まず、途中でトイレに行きたくならないように、試験前はコーヒーを
飲んだりしないように気をつける、とかが私の場合は必要だった。

また、全部で3時間近くかかる試験を休憩なしでやるのが、
集中力の持続、という点でとても厳しい。

高校時代なら、こういう長時間試験にも慣れていたと思うが、社会人に
なってからは「2時間以上一つの場所にいて集中し続けなければならない」
機会はゼロだから。

終わったら、教室の前に置いてある自分の持ち物を各自とって帰る。

後は結果が出るのを待つだけだ。

2011年5月28日土曜日

HSK初中等(6) 聞き取り(听力)

もっとも難しい。これに尽きる。

日本で行われている中国語検定(中検)二級の問題集を買ってやってみたことがある。
聞き取りだけについていうと、HSK初中等とは比較にならないぐらい易しい。

内容もさることながら、話すスピードが全然違うのと、
問題文などを2回ずつ読んでくれるからだ。

まあ、(旧)HSKの本来の趣旨は、中国で生活に困らない、みたいなところがあるから、
「一回で聞き取れないと話にならないでしょう?」というロジックがあるのは
ある程度理解できる。

確かにこの聞き取りがほぼ完璧に出来る人は、テレビのニュースも分かるだろうし、
生活する上で困る場面はないだろう。

聞き取りは、3つの部分に分かれている。
第一部分は、単文が読まれる
第二部分は、ふたつの文(二人のやりとり)が読まれる
第三部分は、ある程度長い対話、もしくは文章が読まれる

いずれの部分も、文が読まれるのに続いて、問題文が読まれる。
選択肢は全て解答用紙に書いてあるので、それを選ぶ、という方式である。

理想は「文が読まれる前に選択肢を全部読んでおく」ことだ。

そうすれば、読まれる文の内容(使われるであろう単語)が予測できるし、
練習量が増えるに従って「これはこのパターンの問題であろう」というように
問題のタイプが予測できるようになり、それに基づいて元の文を聞けるようになる。

で、文と問題文を聞いたらすぐに回答して、次の選択肢を読み始める、
というのが理想的な時間の使い方だ。

私の場合は、全然うまくいかなかった。

「聞いたらすぐに回答」できず、時間を食っている間に、
次の文が読まれるので、選択肢を後から読むことになり、さらに回答に時間を食う、
という悪循環から逃れられなかったのだ。

結局、聞いた文がきちんと理解できてないという、要するに力不足だったわけで、
それを小手先のテクニックで何とかしようとしても無理、ということだったと思う。

2011年5月24日火曜日

HSK初中等(5) 総合(综合)

総合は2つの部分に分かれている。

一つ目は、文章中の空欄に最適な語句を選択するもの
二つ目は、文章中の空欄に最適な漢字一文字を回答欄に書くもの

語句選択は、文法的な正誤(善し悪し)を問う場合もあるし、
意味的な正誤(善し悪し)を問う場合もあり、まさに総合的な問題と言える。

ここに対しては、文法の勉強と、読解などによって「このケースでは
こっちの単語の方が相応しい」等のユースケースを増やすこと、を基礎として、
練習問題で感覚を磨く、ということになるだろう。

一方の漢字空欄埋めは、問題の成り立ち的には上記と同じなのだが
「簡体字を書く」という非常に壁が高い問題をクリアしなければならない。

だいたい、会社でPCを使って仕事をすることが一般的になって以降、
日本語ですら「文字を書く」機会は一年に数回あるかないかぐらいの頻度だし。

簡体字は、日本語の漢字と微妙にちがう場合があるので、それがやっかいだ。

宮(宫)という字は、微妙だがまあわかりやすい。
経(经)という字の「つくり」は日本の漢字だと又と土だが、簡体字はスとエ
氷(冰)という字が、簡体字だと「にすい」に水
愛(爱)という字の簡体字は下が友

あと、簡体字はごんべんなどの「へん」が簡略化されていてわかりにくい。
     ごんべん       说、认、谈
     かねへん      铁、针、铃
     しょくへん      饭、饰、饺

これらは草書体的に簡略化されているので、いくらかいても
バランスが悪くなってしまう。

HSKを受けたのはもう一年半ぐらい前だが、直後学校の先生に出したメールを読み返すと、
「汉字填空写错了两个字,"轻"和"真",太可惜了」と書いてあった。

その後HSKは受けてないので、いまだにこれらの字はきちんと書けないであろう。

2011年5月21日土曜日

HSK初中等(4) 文法(语法)

学校のHSKクラスで、最も時間を費やすのは、文法の学習である。

これは一つには、文法は読解など他の試験項目の基礎でもある、ということもあるし、
文法は覚える項目が大量にある、ということでもある。

挙げていくときりがなくなってしまうので、それはまた別途ということにするが、
一つだけ書いてみる。

私は方向補語の感覚がいまだにつかめない。

上来、上去、下来、下去

いったいどう使い分けろと言うのか。

何かの動作を今後も引き続きやるばあいは「下去」
不正常な状態から正常な状態に戻ったときは「下来」

まあ、去と来は感覚的に理解できるが、なぜ下なのか...

こんなことをいちいち考えながら人と話すことなんてできないが、
試験で多少確信をもって選択肢を選ぶことぐらいはできるようになった。

「これがどの程度、現実に役に立つのかな...」という疑問は拭い去れないものの、
役に立つ方向なのは間違いないので、我慢して覚えよう。


文法の試験も、設問数と比較して時間が短いため、スピード勝負の側面が強い。
練習問題をたくさんやれば、パターンがわかってきて、
設問中にはパターンに当てはまるものが何割かはあり、それらは機械的に
回答することができるので、時間を食う問題を考える時間を確保できる。

時間を食う問題というのは、選択肢に書かれている句がかなり長く、
構成も少し複雑なので、全ての選択肢を注意深く読んで考える必要がある。
こういった問題が難しいとは限らず、回答を選ぶことは簡単な場合もある。

スピード勝負とはいえ、落ち着いてさえいればなんとかなる。

2011年5月17日火曜日

HSK初中等(3) 読解(阅读)

さて、試験の中身について。

なぜ、読解を最初に書くかというと、簡単だから。

日本人は漢字がわかり、かつ語彙が日本語と似ているものも多いので、

(1)簡体字がちゃんとよめること
(2)接続詞、前置詞のような基礎的な文法の知識がわかること

という条件を満たせば、文章の大意を理解することができる。

読解の問題は、文章の意味合いを問うものである。

■筆者は何を言いたかったのか、正しいものを選べ
■この文章の内容と異なっているものは次のうちどれか

みたいな感じで、当然のことながら「意味的に微妙な選択肢」というのは
あまりないため、正しい選択肢を選ぶことは比較的易しい。

ただし、結構量が多いので、

(3)大量の中国語の文章に辟易しないこと

も重要である。

ゆっくりやっていると時間が足りなくなるので、読むのも回答するのも
スピード勝負になる。

その点は、やはりある程度訓練して慣れる必要はあるだろう。

テクニック的には「まず設問を一度読んでから文章を読む」という方法もあるが、
私個人の経験だと、あまり凝った設問はないため、文章を読んでからやるのと
それほど効率に違いはないように思われたので、これは使わなかった。

2011年5月14日土曜日

HSK初中等(2)

(新でない)HSKで、多少中国語学習の経験がある人が受けるのは「初中等」である。
種類としては、この他に「基礎(基础)」「高等」がある。

私が受けたのも「初中等」である。

試験は、4つの分野からなっている。
「聞き取り(听力)」「文法(语法)」「読解(阅读)」「総合(综合)」

総合の一部を除いてマークシートによる選択式となっている。

選択肢は4つなので、適当に答えても25%は当たる確率がある。

マークシートであるがゆえ、よくわからない問題でも「これはあり得ないな」と
いうように選択肢を除外するテクニックがものを言うので、得点を上げたい場合は、
やはりHSK向けの勉強をすることが望ましい。

私は週末会話勉強のために通っていた学校で、会話クラスを中断してHSKクラスを
受講した。

学校で申し込みも代行してくれたし、模擬試験も開催してくれた。

また「マークシート用シャーペン」もくれた。

私が、当時「共通一次試験」と呼ばれていた大学入試を受けた時代は、
こんな便利なシャーペンはなかったので、普通の鉛筆で時間をかけて
枠を塗りつぶしたものである。

もらったシャーペンは、芯が円形でなく平ら(きしめんみたいな形)をしており、
一回横になぞるだけで、マークシート枠を全部塗りつぶすことができる。

最初にマークしたときはちょっと感動した。

ただ、でも使っていると芯が偏って減ってきたりするので、
端の方が塗りつぶせなくなくなってくる。

その時、端の部分を細かく塗ろうとすると、このシャーペンは芯が太いだけに
全く使えない。まあ、そういう用途ではないから当たり前なのだが。

結局その時はといだ鉛筆に持ち替えて塗ることになるので、
逆にちょっと面倒だったりする。

2011年5月10日火曜日

HSK初中等(1)

中国語の試験といえば、やはりHSKであろう。

HSKはアルファベットだけれども英語ではなく、ピンインの頭文字をとったものである。
「漢語水平考試(HanyuShuipingKaoshi)」

HSKは「中国語を母国語としない中国語学習者のレベルを測定する」というのが目的で、
だいたい英語のTOEICに相当すると思われる。

実はHSKには2種類ある。

「HSK」と「新HSK(HSK改进版)」

もともとのHSKは、中国に来た外国人留学生を対象にしたものなので、
レベルがやや高めに設定されていて、中国国外での学習者にはそぐわない、
という理由で、新しい方の試験が開発され、導入された、らしい。

いま、中国国内では両方の試験が受けられるが、日本のHSKサイトを見ると、
日本では新しい方しか受けられないみたいである。

ここで文句言っても仕方ないが、もし今後も両方続けていくつもりならば、
「新」とかを使わずにまずは名前をはっきり分けてほしい。

中国国内には両方存在するので、かなり紛らわしい。

私が受けたのは、古い方のHSKで、新HSKは断片的な知識しかないので、
このあとHSKについて書いた事柄は、すべて古い方についてのものだ。

2011年5月7日土曜日

中国語の本を読む(6)

英語原作の本ということでは、推理小説ではないが、もう一つある。

サリンジャー (塞林格) 「ライ麦畑で捕まえて(麦田里的守望者)」

これも、日本語でも英語でも何度も読んだ本だったので、ぜひ中国語でも
読みたいと思っていたが、なかなか本屋で見つけることができなかった。

内容的に許可されないのかなあ、と思っていたのだが、そうしているうちに、
原作者のサリンジャーが亡くなった、というのが中国でもニュースになった。

その後、本屋に行ったら簡単に見つけることができた。新たに入荷したか、
目立つところに置き場所を変えたのであろう。
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これで、「もともと好きな本」で中国語訳があるものは、ほぼ尽きてしまった。

このような形で翻訳書を読むのは、中国語に慣れ親しむことができるのと、
好きな本を読めるから楽しい、というところはよいのだが、
やはり中国人が書いた本を読んだ方が、例えば中国の文化を理解するとか、
日常会話における言い回し、みたいな知識が身に付くので、
もちろん、中国の作家の本を読む方が望ましい。

だから、これ以降は、本屋で中国人作家の小説を読むようにしている。

適当に手に取っているだけだから、題名や導入から想像していたのとは
違った展開になる場合もある。

また、やはりもともと内容を知っている本を読むのと違って、
意味が通じない部分が多いので、苦労しながら読んでいる。

もう少し後になったら、読んだ本についても、少し書いてみたいと思う。

2011年5月3日火曜日

中国語の本を読む(5)

欧米ものの推理小説も、もちろん日本のように「何でも全部そろっている」とは
いかないが、それなりにはある。

古いところでは、コナンドイル、アガサ・クリスティ、
エラリー・クイーン、レイモンド・チャンドラーなどはある。

※推理小説としてはマイナーな日本の「小栗虫太郎」や「夢野久作」
  まで売っているのにはビックリした。でも横溝正史はなかった。

特にクリスティは充実していて、ほぼ全部が翻訳されている感じだ。

ただ、それ以降の欧米ものはあまり充実していないように思われる。
まあ私も最近の欧米ものはあまりフォローしていないので、知らないだけかもしれない。

※ロバートBパーカーがあったら読みたかったのだが。
内容がちょっと暴力的だから許可されなかったのだろうか。

私が読んだのは、

クリスティ(克里斯蒂)  「ABC殺人事件(ABC谋杀案)」
                                「オリエント急行殺人事件(东方快车谋杀案)」
                                「スリーピングマーダー(沉睡的谋杀案)」
クイーン(奎因)      「Xの悲劇(X的悲剧)」
チャンドラー(钱德勒)  「長いお別れ(漫长的告别)」
                                「さらば愛しき女よ(再见,吾爱)」
                                「プレイバック(重播)」

「スリーピングマーダー」を除いて、全て日本語と英語で読んだことがある。

翻訳者との相性の問題かもしれないが、クリスティは非常に読みやすかった。

クイーンは、ドルリー・レーンシリーズということで、シェークスピアとか
演劇関係の話題のところがやはり難しかった。

チャンドラーは、日本語でも英語でも何度も読んだことがあるのだが、
元の英文が難解というところもあって、中国語も難解だったように思われる。

とはいえ、好きな本だと、少し大変でも読むのは楽しいものだ。