面は、麺の簡体字である。"面と向かって"の面の字も同じ字なので、
簡体字化によって、面と麺が合併して、両方の意味を面という字で
表すようになったということである。
さて、ここでは麺の意味で使われる面の概念について少し書いてみたい。
日本語で麺というと、小麦粉などで作られた細長い形をしたもの、という意味になる。
そばやうどん、ラーメンなどが代表的なもので、スパゲティなども含まれる。
さて、中国の面は、ラーメンのように細長いものもあるが、
裤帯面のようにきしめんよりさらに幅広いタイプが存在し、
一方、刀削面のように若干形容が微妙なものも含まれ、
さらに餃子やワンタンも含んだ広い概念である。
ビーフンのような原材料が米であるものは面とは呼ばない。
烧卖や小龙包などの点心も、面とは呼ばれないようである。
状況から推測するに、中国でいう面の必要条件は、
■主に小麦粉を材料とする
■(おかずでなく)主食としての地位を確立している
である模様だ。
※中国北方では餃子は主食である。餃子定食というメニューは
多くの中国人にとってまだ受け入れがたい、と思う。
確か「餃子の王将」が中国のどこかに出店していたと思うが、
どんなメニュー構成なのだろうか。
※ただし、飲茶で出てくる「エビ餃子」みたいなのは例外的に、
焼売とおなじグループにはいるのだと思う。主食って感じではないし。
ところで、この中国の面の概念は、イタリアの「パスタ」の概念と非常によく似ている。
パスタには、タリアッテレからベルミチェッリまで太さの異なる細長い系の種類が存在し、
かつマカロニなどの異形もあり、さらに具が中につまったラザニアも含まれる。
さきほど推測した中国の面の必要条件は、100%そのままパスタに通用する。
以前読んだ、玉村豊男というエッセイストの人が書いた本(題名忘れました)の中で、
「イタリアのパスタは、イタリア人のオリジナルでなく、
シルクロードを通じて東洋から輸入された後に発展させたもの」
というイタリア人が聞いたら怒りそうな説を展開していた。
真実はもちろん分からないが、少なくとも中国での面の概念とパスタの概念は、
偶然と呼ぶには似すぎているというのは確かであろう。
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