2011年4月30日土曜日

中国語の本を読む(4)

それ以降、大人向けの中国語の本に移行できたが、
最初の頃は、やはり「好きな本の中国語訳を読む」という状況だった。

中国では欧米の推理小説もそれなりに翻訳されているし、日本の小説の翻訳も
それなりにたくさん売っている。

大きい本屋には、小さいながらも日本人作家のスペースもある。

どういう基準で選ばれているのかわからないが、東野圭吾、島田荘司などが、
目立つように思われる。村上春樹も多い。1Q84は、日本で出たのとほぼ同時に
中国語翻訳版も出て、入り口のところで平積み、という力の入りようで、
人気のほどが伺える。

「徳川家康」とか戦国武将の名前を題名にした本も割と目立つところに
置いてある。中国人はきっと武将好きなのであろう。

日本人作家コーナーでなく、若者向けコーナーに、「涼宮ハルヒ」シリーズの本
の何冊か(もちろん中国語翻訳版)が平積みされていたときは、さすがに驚いた。
これは、もしかして上海だけ、なのかもしれないが。

日本からの翻訳もので私が読んだのは、

松本清張  「砂の器(砂器)」
森村誠一  「人間の証明(人间的证明)」
村上春樹  「風の歌を聴け(且听风吟)」
                 「1973年のピンボール(1973的弹子球)」
                 「羊をめぐる冒険(寻羊冒险记)」
                 「中国行きのスロウボート(去中国的小船)」

村上春樹の本は、日本語で既に何度も読んでいたので、
中国語を読んだ時に、日本語での表現を思い出す、という感じで楽しかった。

「砂の器」「人間の証明」は日本語では読んだことはなかったが、テレビドラマ
(それぞれSMAPの中居くん、竹之内豊が主演したやつ)を見ていたので、
だいたい内容がわかっており、それと比較しながら読むことができた。

日本からの翻訳ものは、英語翻訳ものと違って名前や地名が一発で分かるため、
その点の苦労が全くないのがよい。

2011年4月26日火曜日

中国語の本を読む(3)

この「シャーロックホームズ短編集」は、子供向け、かつ私は内容を全部よく
知っている、という条件があっても読み進めるのは非常に辛かった。

※英語の原書(ペーパーバック)をはじめて読んだときもすごく辛かったが、
  それと同程度ぐらいだろうか。

もちろん、私が中国語をはじめて1年も経っておらず、
語彙や文法が全く身に付いていなかったから、ということが主な原因だと思う。

時間はかなりかかったが、それでも、なんとか最後まで読み切ることができた。

こういった英語の翻訳ものを読む際、中国語初心者の私にとっての問題は、
「固有名詞」である。

※本当は具体例を挙げられればよかったのだが、この本なくしてしまったので...再度すみません。

いくら内容を覚えているといっても、登場人物や地名を全部覚えているという
わけではない。

これ、前にも書いたと思うが、中国語は単語を分かち書きしないので、
文を読んだときに、これは固有名詞の一部なのか、それとも文章の一部なのかが
わからなくて、もともと難しい解読が、より一層難しくなるからだ。

ただ、いま考えてみると、どうも英語の固有名詞を音訳する際に使われる漢字は、
「一般的にはあまり文章で使われない」ものが選んで使われているように思われる。

もしかして、程度の違いはあれど中国人も同様の悩みを抱えているのかもしれない。

2011年4月23日土曜日

中国語の本を読む(2)

まず、中国語の原書で、読みたい本がない。

もちろんこれは人それぞれの趣味の問題で、もともと「三国志が好き」、
とかだったら良かったのだが、残念ながら、私は英米の推理小説が
好きだった関係上、中国の小説にはまったく知識がない。

※三国志も日本語で読んだこともなく、あらすじもよく知らない。
  威張れるような話ではないのだが。

何か読めるものはないかと思って本屋に探しに行った。

上海にも、大きな本屋が何軒かあるが、その当時知っていた唯一の
本屋さんは南京東路にあった(いまはもうない)。

当時は、中国に来て半年ぐらいの頃で、中国語のレベルも非常に低く、
いくら漢字が分かって、そこから多少の類推ができるとしても、
普通の本を読むのは無理だった。

仕方がないので、子供向け本のコーナーに行ってみた。

日本同様、中国にも「名作全集」みたいなシリーズがたくさんあり、
国内外の古典を子供向けにしている。

欧米の話が元になっているものも、題名が漢字で書いてあるので、
一見よく分からないが、一つずつ確認していくと、ありました、わかるのが。

「シャーロックホームズ短編集」

※この本なくしてしまったので、中国語題名なしです、すみません。

中国語の本といっても、読書は結局好きな本を読むことになるのだ。

2011年4月19日火曜日

中国語の本を読む(1)

本を読むことが好きなので、外国語が少し分かるようになると、
すぐ原語で本が読みたくなる。

英語は、原書で読みたい本がたくさんあった。

推理小説が好きだったので、日本語訳で既に読んでいた
イギリスやアメリカの作家の本を原語で読みたかったからだ。

東京では、こういった英米系の原書は大きな本屋に行けば手軽に入手できた。

教科書を読むような"熟読"と違って、私の読書は、細かいところは気にせず
内容を把握して楽しむためのものなので、どちらかというと"速読"に属する。

「この単語の意味が分からない」などといちいち調べていると、
永久に読み終わらないし、進みが遅くなると達成感が乏しくなり、
モチベーションがどんどん下がってくる。

「10ページ読んだ」「この本の1/4読み終わった」「1/3読み終わった」
「半分終わった、あと半分だ」「あと100ページだ」「あと50ページ」

というように「進み度合い(達成度合い)が数値として実感できる」と、
前に進もうという気持ちもわいてくる。

実際は、例えば1冊読み終わったからといって、「語学を勉強する上で、
何を達成したのか」というと、明確なものはほとんど得ていないように思う。

あるいは、英語的な感覚とか言い回しとかを覚える助けには
なっていたかもしれないし、そう信じたいところではある。

大学生当時は数年間に渡って、何冊もこうして英語のぺーバーバックを読んだ。

最初は1ページ読むのに20分とかかかっていたのが、最後の方には3~5分程度で
読めるようになっていた。

私の場合は、「勉強するため」という目的ではなく、「本が読みたい」という目的が
主になっているからこそ、続けられたように思う。

でも、中国語の勉強には、この方法はいまいちだ。

2011年4月16日土曜日

外国の固有名詞(4)

中国でもバスケットボールやサッカーの人気は高い。

スポーツニュースには、NBAや、欧州主要サッカーリーグが頻繁に登場する。

ヤオミンはじめ中国人選手の活躍度合いの関係からか、やはりNBAが一番人気である。

NBAのチーム名はどうかかれているか?

Rockets (火箭)
Nets (篮网)
Lakers (湖人)

得意の意訳攻撃全開で、全てのチームを2~4文字の漢字で表現する。

でも、さすがにうまくいかないものもある。

Celtics (凯尔特人)
76ers   (76人)

セルティックスは、音訳する以外にどうしようもあるまい。

"76人"って、"76ers"は人数のこと言ってるんじゃないんだから、
どうみてもおかしな訳だが、他に書きようがなかったのかもしれない。

※"76年人"とかにした方が本来の意味に近いのでは。


欧州サッカーチームは普通の音訳が多いが、やはり、

マンチェスターユナイテッド 曼联
マンチェスターシティ     曼城
レアルマドリード              皇家马德里

のように、音訳意訳の組み合わせ攻撃の場合がある。

ただ、サッカーチーム名はNBAチーム名のインパクトと比べると、雲泥の差である。
外来語訳を担当する人のセンス、とかによるのだろうか。

2011年4月12日火曜日

外国の固有名詞(3)

私たちが勉強する際の、中国語のテキストには(中国にとっての)外国人が、
たくさん登場する。

日本の英語の教科書は、当然のことながらTomだのJohnだのという英米系の
名前ばかりだが、中国語テキストは、バラエティ豊かだ。

英米系の他に、韓国人や日本人もよく出てくる。

日本人の登場人物は「田中」さん、「山本」さん、「鈴木」さんなどだろうか。

ただ、もちろん主役は英米系人物である。

David 大卫dawei
Anna 安娜anna

アンナはもろそのままだからよいとして、Davidがdaweiとは?
Davidは「ディヴィッド」では? ダァではなく?

もっと違うのは、Johnである。

John 约翰yuehan

「ユエハン?」

思うに、英語系名の「ジョン」ではなく、ドイツ系の「ヨハン」から来ているのか。
Davidも英米系の「ディヴィッド」ではなくドイツっぽい「ダーヴィッド」からか。

日本のローマ字も、アメリカというより欧州から学んだ、という感じがするが、
中国のピンインもそうだし、こういった古くから使われていたと思われる外来語には、
アメリカというより欧州の影響が強く感じられる。

2011年4月9日土曜日

外国の固有名詞(2)

ニュージーランドを中国語でなんというか。

"新西兰"

この意訳と音訳の合わせ技が、中国語(的発想)の真骨頂である。

日本人にはこういう発想が決してできない。

まあ、もちろん日本語はカタカナでそのまま書けばよいだけだから、
そもそも必要がない、ということもあるが、仮に必要があって、
こういう方法を思いついたとしても、

「固有名詞を意訳するなんて、先方に失礼」

などといって絶対却下すると思う。


もちろん、さすがに通常はそういう荒技は使わない。

例えば、ロサンゼルス(Los Angels)は意訳して"天使たち"と書くことはなく、音訳する。

  "洛杉矶luoshanji"

何度聞いてもLosAngelsとは聞こえないが、
リズムという点では、英語に近い。

英語でLosAngelsは母音の数に対応して3拍だが、
中国語も3拍となる、一方、日本語は6拍になる。

一般に日本語でのカタカナ表記は、言語での母音子音の発音を忠実に再現することを
目指しており、その結果リズムは全く原語と異なるものになる。

中国語の中の英語は、発音はなんとなく近い、といった程度だが、
リズムは日本語と比較すると、かなり原語に近く再現できている。

英語を母国語とする人にとって、どちらがわかりやすいのだろうか。


2011年4月5日火曜日

外国の固有名詞(1)

もともと漢字以外でかかれている外国の固有名詞をどう表現するか。

主要な国名は日本語に近い感覚の漢字表記になる。

アメリカ 美国
イギリス 英国
ドイツ  徳国
フランス 法国

漢字の違いは、日本語と中国語の文字の発音の違いに起因していると思われる。

日本語の"欧米"に相当する言葉として、中国語には"欧美"があり、
"欧米人"と同様"欧美人"という言葉(概念)がある。

※固有名詞ではないが、ついでに言うと、中国語でも"白人"、"黒人"という
言い方もある。

この辺まではまだよい。

"巴西"という字を見て、たとえこれらの漢字のピンインを知っていたとしても、
これがどの国を指すのか推測するのは難しい。

Brazil ブラジル(burajiru)  巴西(baxi)

同じものを指しているとは全く思えないほど、日本語と中国語の発音は異なる。

2011年4月2日土曜日

ピンインと声調について(5)

最近のことだが、上海のバーガーキングでセットメニューを頼んだときのこと。

"小皇堡套餐xiaohuangbao taocan" (WhopperJrセット)

と言ったのだが、WhopperJrだけを紙袋に入れて渡された。

これはどうしてか。

おそらく"tao can(4声、1声)"の声調を4声、3声で発音してしまったため、
バーガーキングの女の子は"帯走dai zou(持ち帰り)"と理解してしまったのだ。

声調は、母音子音の発音に優先する場合がある、ということだ。


でも、声調はいつまでたっても身につかない。

単語を覚えるのに、

漢字を覚える→ピンインの発音(声調抜き)を覚える→声調を覚える

というような3段階が必要で、第2段階から第3段階へのハードルが
かなり高い。

これは、日本人だから、かもしれないし、個人的な能力とかセンスの問題、
あるいは年齢的な問題なのかもしれない。

例えば"実shi"は2声だが、私はこれを「字を見てすぐに2声であることを
把握する」ことができない。

まず、実を使った熟語「其实qishi(実は)」を頭の中で発音してみてはじめて、
「あ、2声だったんだ」と思い出す、という手続きを必要とするのである。

このような「体で覚えている」単語は非常に限られている。

結局「体覚える単語」を増やすという地道な努力しか方法がなく、
さらにそこに達するまでに必要な「覚えたつもりになって忘れる」サイクルが、
あまりに多いため、ほとんどあきらめの境地に達しつつある。