2012年7月27日金曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (8)

諸葛孔明のおかげで劉備も勢力が拡大する一方、
曹操は漢の王室を追放して自分が皇帝になって魏の国とし、
劉備も蜀の皇帝を名乗り、呉とともに三国が並び立つ状態になる。

しかし、後半になると有力な登場人物が年をとっていくこともあり、
次々と死んでいくので、物語としては勢いを失っていく。


主要登場人物のなかで、諸葛孔明は最後まで生き残り、
劉備の意思に基づいて、 魏の国に対して戦争を仕掛けていく。


最後のほうは、諸葛孔明も超人ではなく、とても優秀ではあるが、
普通の人間に戻っているので、敵方の優秀な人(魏の司馬懿)との
対等な戦いとなり、一進一退の状況の中で、病死してしまう。



諸葛孔明亡き後、魏は蜀の皇帝である劉備の子供を投降させ、蜀は滅びた。

その後、司馬懿の子供が曹操の子供を追い払って晋の国として皇帝となり、
魏の国も滅びた。

残っていた呉の皇帝も晋に投降して、三国の時代は終了して晋が統一し、
中国に新しい時代が訪れた。
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どこでもそうだろうが、皇帝の2代目は初代より能力が劣るし、
三国が並び立つ状態が続いて、局所的に戦争を続けているものの、
2代目皇帝は戦争の現場には関与せずに貴族化してしまっていた、
ということなのだろう。

諸葛孔明が死んでからは「話としてつじつまを合わせた」という感じで、
あっという間に終了した。

2012年7月22日日曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (7)

100ページを越えたあたりでようやく諸葛孔明が登場する。

劉備のいわゆる「三顧の礼」で、諸葛孔明は劉備の軍師というか、
参謀になることを承諾する。

しかし、なぜ日本では諸葛孔明が通称になっているのか?

諸葛孔明の姓は諸葛、名は亮、字は孔明
劉備の姓は劉、名は備、字は玄徳
関羽の姓は関、名は羽、字は雲長

中国人は通常「諸葛亮」というように言及する。
他の人物も基本的に姓名で呼ぶ。

日本も他の人物は姓名で呼ぶのに、諸葛孔明だけなぜか字で呼ばれているのは、
本当に不思議だ。

さて、諸葛孔明が登場してからは、主役は一気に孔明に移り、
常人とは思われない能力を発揮して、 劉備の勢力を拡大していく。

赤壁のところで、曹操からうまく矢を回収するくだりなんかは、
 「いくら頭がいいからって、三日後の天気を正確に予測して、
しかもそれに命を賭けるってどういうこと?」


あと、中国語の勉強しているときに出てきた、
「只欠东风」
 という諸葛孔明の台詞もあった。

これも、諸葛孔明の思惑とおり東風が吹いてくるわけである。

架空の人物としか思われないリアリティのなさであるが、
ドラマの登場人物としては、これぐらいじゃないとインパクトがないのかも。

2012年7月17日火曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (6)

あらすじ本的だからかもしれないが、女性はほとんど登場しない。

劉備の奥さんはなかなかよい役回りで登場するが、ちらっと、という感じである。

もう一人、呂布が謀反を起こすきっかけを作る踊り子の女性はその回では
主役級の扱いとして登場する。

当時、まだ曹操がのし上がる前の漢の国の政府というか朝廷というかのなかで、
董卓という権力者がおり、呂布はその養子に入っていた。

ただ、董卓の悪政に対して将来に不安を持った部下の一人が踊り子の女性に、
「董卓を倒さなくてはならない。手伝ってくれ」
とお願いする。踊り子はその人に恩があるので承諾する。

なにをやるかというと、董卓と呂布の両方を誘惑し、仲違いさせて、
呂布が董卓を殺すように仕向けるのである。

もちろんこの計画は成功した。

子供向けの本で、ほとんど唯一登場する女性がこの役割とはどうなんだろう、
とちょっと思った。
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子供向けとしてどうか、という意味では、
きっとこの本には書かれていない残酷な描写が元の本には
たくさんあるのであろう。

もちろん、この辺は日本の戦国時代の話も同様なのだろうが。



2012年7月12日木曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (5)

劉備は"黄巾"の反乱を鎮圧して功をなした。
続いて曹操だとか、呂布だとかが登場してくることになる。

目次を読む限り、諸葛孔明の登場は100ページ近くで、まだまだ先が長く、
そこまでは、主に曹操がのし上がっていく過程である。

劉備は義理の人で信頼が厚いが、あまり欲がなく、ずるさみたいな部分に欠けるので、
諸葛孔明が味方につくまでは戦いに負けてしまうことも多く、あまりぱっとせず、
一時地盤を失って曹操のところに世話になったりする。


三国の残りの一つである呉(本の中では"東呉"と呼称されている)は、
地味で脇役的な扱いだが、孫権(のちにその子供)というリーダーのもと、
本の最初から最後まで安定した存在感を確保している。

この本はほとんどあらすじ本なので、あまりドラマチックな場面はないのだが、
曹操が戦いに負けて逃げるときに敵の大将に見つかるが、
なぜか本人だと思われなくて、
「曹操はどっちへ逃げた?」
「あっちです」
という危機一髪な場面はあったりする。

曹操は野心ばりばり、目的達成のためには味方も裏切る、
といった冷酷無比な感じで描かれる。

ただ、結局のところ、漢の皇帝から権力を奪い取ってしまうし、
三国の中では地盤的にも洛陽や長安といった当時の中国の中心を
もっているので、勢力としては一番な感じがする。

2012年7月9日月曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (4)

いくら三国志を読んだことがないといっても、
名前を聞いたことがある登場人物ぐらいはいる。

劉備、曹操、諸葛孔明、関羽とか。

でも誰がどの国の人だとか、誰が敵で誰が味方だとか全然知らなかったし、
「項羽」も「劉邦」も漠然と三国志のひとなのかも、と思っていた
(中国の人と歴史の話をしなくて、本当によかった...)。

前回書いたように、最初は文章があまりに難しくて読み進めるのが
非常につらかったが、2ページ目で早くも劉備と関羽が出てきたときはほっとしたし、
文章解読の手がかりが(ほんの少しだが)増えた気がして嬉しかった。

話としては、まず漢の国が既にあり、支配層の腐敗が進んだことに不満がたまり、
"黄巾"とよばれる人たち(黄色いマフラーでも巻いていたのか?)が
反乱を起こすところから始まる。

なんか、この"黄巾"を立ち上げた人は、どこかの山で仙人に会って
予言された(というか、そそのかされた感じだが)のがこの反乱の
きっかけだったみたいである。

ここで劉備(漢の王室のちょっと血を引いているみたい)が登場し、関羽、張飛と
出会って漢の国を守るために"黄巾"をやっつけることで意気投合し、
桃園で義兄弟の誓いを交わす。

ここまでが第一回で、約5ページである。

たぶん、もともと長い話を5ページに短縮しているから当然なのだと思うが、
物語を進めるため以外の描写は一切なく、淡々と話が進んでいく。

「きっとあらすじ本というのはこういうもんなんだろうなあ」と思わせる内容である。

2012年7月4日水曜日

読書 三国演义 青少美絵本 (3)

ということで、読み始めてみたが、

「全然分からない...」

というのが正直な第一印象だった。

私は日本人で漢字が分かるので、たとえ現代中国語であまり使われない言葉が
出てきても、漢字から文章の意味は推定することができるし、
現代中国語を知らない分だけ、「現代中国語との違い」を意識できないのでは、
と思っていたが、かなり違う感じがする。

※逆に中国語の昔の単語で、現代中国語では消えているのに、
日本語のほうが温存されている、というケースがあるのも確かだと思うが、
やはり少数派である。

きっとこれでも現代の子供向けにかなり読みやすくしているはずと思うが、
なんというか、感覚的には日本で言うところの「現国と古文」の違いほどでは
ないにしても、その半分近くに相当する違いがあるような気がする。
(分かりにくい例えですみません...)

だから、そもそも普通に文章を読んでも理解率がとっても低い。

さらに、三国志だから地名も人名も大量に出てきて、これがまた厄介である。

■地名は現在の中国と異なるので、どこにあるか全然予想がつかないのと、
現在常用されていない漢字がたくさん使われている

■人名については(現代中国語の読書でも当初そうだったが)、
文の中でどれが人名なのか区別がつかない
(これは単純に読解力がないだけなのだが)

さらに人名は姓があって名があって字まであって覚えきれない上に、
同じ人がしばしば異なる呼称で言及されるので、
読んでいて誰が誰だかわからず混乱する

敵にも味方の両方に、同じ姓の登場人物が何人かいて区別がつかず、
いまどの国の話をしているのかわからなくなる

もし、仮に私に三国志の基礎知識があったら、
少なくとも人名や地名で苦労することはないのでずいぶん違ったと思うが、
最初の数十ページはかなり読み進むのがつらかった。