2011年7月30日土曜日

過去形がない

中国に来る以前から、ちょっと気になっていたことがあった。

中国人が書く英語には"already"が実に頻繁に登場する。

別に不思議に思ったとか、変だなーと思ったというわけではなく、
「なんか多いなー」と感じていただけだったのだが、
中国語を勉強して、なんとなく理由が理解できた気がする。

中国語には、時制がない。
英語は厳密な時制がある。
日本語は語尾の変化で過去と未来を区別できる。

我写信
他去北京

これだけを読むと「いつのことなんだ?」と時制を確認したくなってしまう。

我写信了
他去北京了

こう書くと、完了を表すことになる。

  I have written a letter
  He has left to Beijing

では、ハッキリと過去を表すときはどうするか?

我已经経写信了
他已经去北京了

のように副詞の"已经"あるいは"已"を追加するのが一般的である。

※中国では"已坏"と書いてある張り紙をよく見る(トイレとか、自販機とか)。
   もちろん「壊れています」という意味だ。

"已经"は英語ではもちろん"already"。

英語で過去を表すとき、動詞を正しく過去形にしていても、思わず、
"已经(already)"をさらに付け加えたくなってしまうのであろう。

2011年7月26日火曜日

"知道了"と"明白了"

中国に限らないが、東南アジア圏で頻繁に使われる英語のフレーズがある。

"noted"

※うちの会社だけかもしれないが。
   でもアメリカやイギリスではあまり聞いたことがない。

口語というより、メールでなにか頼んだり、情報を伝えたときの返事として使われる。
日本語で言う「了解」の感じだが、字面としては「書き留めました」なので、
内容を理解しているのか、本当にお願いを実行してくれるのか不安な感じがする。

"知道了"と言われると、"noted"と同様の不安を感じる。

なんか「知らない状態から知った状態に変わっただけ」という感じがして、
「こっちが言っている意味ちゃんと理解してんの?」と聞きたくなってしまう。

日本語の「分かりました」「了解しました」は"知道了"と"明白了"の
両方の意味を含むように思われる。

なので、概念として2つを明確に区別できないが、たぶんこんな感じなのだと思う。

"知道了"「わかりました」
"明白了"「(知ってはいたけれどいままで理解できなかったのを)理解しました」

きっと、ほんとは"知道了"も単なる"noted"の意味に加えて「理解しました」という
ニュアンスも入っているのであろう。

でも、やっぱり"知道了"といわれると少し不安だ。

2011年7月23日土曜日

テレビの活用(5)

天気予報はともかく、普通のニュースは毎日見ていてもちっともわかるようにならない。

7時のニュースは、まず最初に天気予報コーナーがあり、その後ニュースになる。

中国らしいというか、トップニュースは、多くの場合、上海市政府動向だ。

全人代みたいな国家イベントがある場合は大々的に特集とかしたりするが、
たいていは、国のニュースはなくて、上海市政府の動向ニュースがまず数本ある。

上海市政府の偉い人がどういう会議に出たとか、誰かを激励にいったとか、
晩餐会に出席したとか、そういうニュースがほとんどである。

「なんか、上海市って偉い人が二人いるんだなー」

と思って、学校の先生に聞いたら「それは市長と、市の党書記です」だそうだ。


ニュースがわかるようになるには、前提条件として背景知識が必須だ。

例えば、アメリカの大統領選挙の進め方についての知識がないと、
「今日はスーパーチューズデーでした」というニュースを見ても、
英語であれ、日本語であれ、なんのことだかわからないだろう。

大学時代、ITNの英語国際ニュースを見始めたときも、英語力のなさに加えて、
当時イスラエルとパレスチナがどういう状況にあったか、という背景知識が
ゼロだったため、本当に全く意味がわからなかった。

そのとき、イスラエルとパレスチナについて、いまぐらいの知識があったら、
英語力がなくても、「何のニュースなのか」がある程度わかっていただろう。

その意味で、私が持っている中国の政治制度の知識は少なすぎる。

かといって、上海市長と党書記の役割などについて
日本語で解説しているものもたぶんないと思うし、
これらのニュースを(表面上だけでなく)理解できるようになる日は、きっとこないであろう。

残念ながら。

2011年7月19日火曜日

テレビの活用(4)

また英語の話をして、話題がずれてしまった。

中国語の話にもどる。


いま毎朝出勤前に、上海TV(新聞総合というチャンネル)の朝のニュースを見るようにしている。

どちらかというと、中国語のためというより、天気予報で今日の天気や気温を確認したり、
地下鉄が止まってないか等情報を得るためと、定時に出勤するための時計代わり、である。

天気予報はさすがに毎日見ていれば聞き取れるようになってくる。

日本と違うのは「曇り」が2種類に分かれているところだ。

  "多云" 曇り
  "阴"  曇り

学校の先生に聞いたら「"多云"は雲が白いが、"阴"の雲は黒いのだ」そうである。

まあ、イメージはわかる。


あと「上海らしいなあ」と思うのは、天気予報の中で

「"能见度"は今日はxxキロ以上です」

という内容があることである。

"能见度"は日本語では何というのだろう。

見て字のごとくだが、「どこまで遠くが見えるか」という意味と思われる。

なんでかわからないが、上海は空気が白い。
冬とかは「これは明らかに霧だろう」という時もあるが、
それ以外の季節でも、やや遠くの高層ビルが白くてよく見えないことがよくある。

まあ、かといって一般人にとって多少白くても生活にあまり影響はないと思うので、
毎日天気予報で話さなくても、という気もするが。

仕事の関係で"能见度"が気になる人が多い、ということなのだろうか。

2011年7月16日土曜日

テレビの活用(3)

実は、英語のリスニングとして、テレビのニュース番組を見ていた時期もあった。

大学時代は主に神奈川に住んでいたのだが、当時TVKの夜11時頃から、
ITNニュースという30分の英語ニュースをやっていた。

これは、別にアメリカのニュース番組をそのまま持ってきた、というわけではなく、
国際放送用に作られた番組だったらしく、世界での主な出来事をあつかっていた。

もちろん、アメリカのニュースもあるが、それ以外のニュースが多い。
当時イスラエルとパレスチナのニュースを、毎日のように報じていた。

このブログで以前「外国の固有名詞」について書いたことがあるが、
いま考えてみると、英語でも「外国の固有名詞」は結構驚かされることがあった。

イスラエルでよくニュースに出てくるのは「エルサレム」であるが、
英語では「ジェルサルム」みたいに聞こえる。

同様に、南アフリカの「ヨハネスブルグ」は「ジョハネスブゥグ」という感じになる。

このITNニュースで頻繁に出てくる地名で、ずっとわからなかったところがある。

 "..... イン ジニーバ ........."

「どこだろうジニーバって...イタリアのジェノバのことではなさそうだし」などと思っていたが、
最初は調べるすべも全くなかった。

そもそも、このニュースを見始めた頃は、英語のリスニング能力もほとんどなく、
ニュースの意味そのものがさっぱりわからなかったので。

でも、毎日見ていれば、少しずつ手がかりが得られてくる。

「どうも、国際的な会議がよく開かれてるらしい」
「なんか、スイスにあるみたいだ」

調べてみて、ようやくわかった。

"GENEVA" 「ジュネーブ」

確かに素直にこれを読むと「ジニーバ」になるなあ、と妙に納得したことを覚えている。

2011年7月12日火曜日

テレビの活用(2)

まず、二カ国語放送がない。
海外のドラマでも、テレビでは全て吹き替えだけになっている。

その上で、吹き替えられた中国語の台詞が字幕として表示されるのだ。

これは、中国語には地方によって方言がたくさんあり、
基本的には全ての人は学校で普通語を習うからわかるはずなのだが、
お年寄りなど普通語が聞いてわからないひとのため、
と言われている。

私にとっては、この字幕がガンだ。

なまじ字を目で追えば意味がだいたいわかるため「字を見ずに音声だけ聞く」、
ということができないのである。

繁体字の字幕なので香港か台湾向けだと思うのだが、コナンとかの
日本のアニメをよくやっているチャンネルがある。

コナンだったら少しは分かるかな、と思って見たりするのだが、
しばらくすると、必死で字幕を目で追っている自分に気がつく。

全然音を聞いていないのである。

やはり、殺人事件とかを扱うので、専門用語が多い上に、
コナンは設定やトリックが複雑なので、字幕でも意味がわからない場合が多くて、
まったくストーリーについていけない。


また、韓国や台湾の現代ドラマは、内容がわかりやすいとか、
出ている俳優さんを知っているから、ということでちょっとみたりする。

※韓国ドラマの場合も、当然中国語吹き替え。

字幕を読めば、だいたいストーリーにはついていける。
ただ、ドラマが面白かったりしてそっちに興味がいってしまい、
やはり全く音を聞いていない自分に気がつく。

もちろん、ちゃんと聞き取れないからなのだが、この状況を続けていては、
いつまでたっても進歩は望めないように思われる。

では、テレビのニュースとかではどうだろう。

2011年7月9日土曜日

テレビの活用(1)

また英語の時の経験になるが、聞き取りの練習をするのに、
テレビ番組がとても役に立ったことがある。

いまから20年以上前の話だが、当時日本の地上波で放送されていたアメリカの
いわゆるSitcom(Situation Comedy)と呼ばれるファミリー向けのドラマは、
30分番組で、それほど長くもなく、使いやすかった。

その30分ドラマをビデオで録画して、最初は英語で見て、2回目は日本語吹き替えで
見て、3回目はもう一度英語で見る、ということをやった。

二カ国語放送というのは、なかなか役に立つ仕組みだと思う。

家族間の話題を主に取り上げていた、
「Family Ties」 Back to the FutureのマイケルJフォックスの出世作
「Cosby Show」 ビル・コスビーという当時人気があったコメディアン主演

は毎週録画してみていた。今週は長男が友達とけんかしたとか、
次の週は次女がはじめてデートするとか、身近なほのぼのした話題ばかりで、
語彙の難易度は低いが、日常の生きた言い回しが満載、という良い題材だった。

いまは、そういう内容のわかりやすいドラマはあまり日本で放送されていない
ように思う。もしかして、アメリカ自体にもう存在しないのかもしれない。

例えば、24なり、CSIで同じことをやろうとしても内容も語彙も難しいし、
時間も長いしかなり辛いと思う。

※内容的には「ビクトリア 愛と情熱の嵐」とかだったら簡単そうだが、
  あれはスペイン語だし...

一方、やはりというか、同じことを中国語でやろうとしても難しい。

2011年7月5日火曜日

uの発音

先生に"客戸(kehu)"のhuの発音を直された。

文字だとうまく書けないが、直される前の私のhuの時の口の形は、
「自然なままの形で少し開いた感じ」

正しい口の形は「丸く小さくすぼめた感じ」

以前にも一回書いたが、uの口の形には2種類あるように思われる。

※本とかに書いてあったわけではなく、単に経験からそう感じるだけなので
   学問的には間違いかもしれない。

zhuとかchuは今回のhu同様、小さくすぼめた形
xuやjuは、より自然なままで少し開いた感じ

同じuなのに2種類あるのはちょっと混乱する。

また、eの発音も聞き方によっては"う"に聞こえる場合がある。

"和(he)"、"河(he)"、"客(ke)"、"可(ke)"

これらは音としては"あ"と"え"と"う"の中間みたいな感じに聞こえる。

私は「"え"の口の形をして、"う"の音を出す」ことにしている。
うまくできないが。

uとeを聞き分けることは、結構重要だ。

河北(hebei)省と湖北(hubei)省
河南(henan)省と湖南(hunan)省

聞き間違いすると大変なことになる。

中国人もこれらの省名を話すときは、
普通よりはっきり発音しているような感じがするので、
Nativeでもやはり間違うケースはあるのであろう。

2011年7月2日土曜日

fの発音

これも、よく「huになってます」と注意される。

fの発音は日本語にはなく、英語ではじめて習う。

ローマ字では"ふ"をfuと書くが、日本語での発音からみるとhuが正しいように
思われる。どうしてわざわざfuに直したのだろう。"ひゅー"と発音されるのが
嫌だったのだろうか。

fの発音のポイントは、上の前歯を下唇にタッチさせるところにあるが、
口や舌の技術的難度において、かなり簡単な部類に入ると思う。

发展(fazhan)、法国(faguo)、回复(huifu)

英語で"friend"と言うときは、ちゃんと歯が下唇にタッチできるのに、
どうして中国語ではできないのだろう。

謎だ。

ピンインを忘れているわけではないのに。

ここはやはり、

■日本語のローマ字が"fu"なのに発音が"hu"だ、というのが
私の潜在意識に働きかけてそうなっているのだ

という説を採用したい。

まあ、原因究明はどうでもよくて、

「ピンインわかっているなら最初からはっきりfの発音しろ」

なのだろうが。