2011年6月14日火曜日

読書 双面胶(3)

【注】ストーリーなど詳しい内容を書きます。

この本の主人公の奥さんは上海出身、ダンナは東北地方出身である。

上海は伝統的に「女性が強い」と言われていて、結婚しても料理は
ダンナが作るもの、という話もよく聞く。

ダンナの親夫婦が来るまでは、この夫婦もそうやって暮らしていた。
奥さんが「お茶入れて」というとダンナが持ってくる。

中国でも、東北地方というのは田舎の代名詞のようで、保守的で男尊女卑の思想が
根強く残っているところ、というように描かれている。

また、ご存じのように中国は親子関係が日本より絶対性が強く、
基本的に親に対して子供は反抗しない、というところがあるが、
この面でも、上海(より日本に近く、絶対性は比較的弱い)と
東北(絶対性が強い)では異なっている。

ダンナの親夫婦が同居してから、共働きということもあって、
家事は基本的に姑が行うようになるのだが、

■姑が、ダンナが家で奥さんにお茶を入れたりするのを禁止する
■さらに、奥さんが家事をやるよう「教育」を試みる

ことなどで、亀裂が深まっていく。

家の借金を返すなど、経済的には奥さんが働くことは必須の状況なのに、
なぜこれほど違う扱いに甘んじなくてはいけないのか。

日本だったら、間に挟まれるダンナは、両方の言い分を聞くと思うのだが、
この本に描かれるダンナは親の言い分を奥さんに押しつけるだけだ。

少し不思議なのは、奥さんの方はそのことに対して不満があることを隠さないし、
面と向かってダンナの親に反抗的な態度をとるわりには、
結局、基本的にダンナの言い分を受け入れるところである。

日本なら即「実家に帰ります」になりそうに思う。

ダンナが奥さんに、何度もこう懇願する。

「お願いだからおれのメンツをたててくれ(求你给我个面子)」

日本では、こんなせりふを言っても全く効かないのではないだろうか。

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