2012年12月28日金曜日

灵感(linggan) --- 霊感

私は会社から帰るときによく市バスにのる。

今年の秋に日中関係が少しもめてから、
バスの中では音楽(主にFM)を聴くようになった。

隣の人に突然話しかけられて、私の対応で日本人であることが
ばれたりすると気まずいと思ったからだ。

いちおう念のために書いておくが、実際に危険を感じたことは一度もない。
バスの中で仕事の電話に出て、日本語で話したことも何度もある。
周囲の人は怪訝な顔でこちらを一瞬凝視するが、すぐ元に戻る。
これは今年の夏以前と変わっていない。

大都会上海の仕事帰りで疲れている人々は
基本そんなことにかまっている余裕はないのだと思う。

でも、なんとなくいまでもバスの中でよく音楽を聴いている。

今日もバスに乗って、FMを聞いていたら、
珍しく司会者が誰かゲストみたいな人と話をしていた。
ゲストは歌手か何かのようだった。

「どういうときに"灵感"がありますか」
「夜寝る前とかですかね」

その話題では、司会者とゲストは「灵感」という単語を連発していたが、
どうも、幽霊を見たとか、金縛りにあったとかいう類の話題ではなく、
曲作りの話をしているようだった。

きっと「灵感」の意味は「霊を感じること」ではなく、
「インスピレーション」ということなのだろう。

「灵感」に限らず、中国語の「灵」という言葉の意味は
日本語とかなり異なる。同じ漢字とは思えない。

たとえば「灵活(linghuo)」は機敏だとかすばしっこいという意味だそうだ。
日本語「霊」の字からはこんなの想像もできない。





ちなみに「幽霊」のことは中国語では「鬼」というらしい。

現代日本では「鬼」の概念はとても具体的である。
「つのがあって人間のような形をしていて実体がある生き物」

たぶん昔の日本では中国同様もっと広い概念だったと思われるのだが。

きっと童話の「泣いた赤鬼」とかでしか、鬼を知らないからなのかもしれない。

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